こかむもさん「ぬるめた」2巻と、さきなの読書遍歴

みなさんもう読みましたよね。こかむもさん「ぬるめた」2巻。

 

4コマオブザイヤー2021で新刊部門2位でしたものね。
読んでいないはずがありませんよね。

4oty.net

 

2巻でも変わらずわちゃわちゃの箸コロ爆笑女子高生ズ。髪伸ばしてはしゃいだり、麻雀で役満連発したり、海回では死を思ったり、深夜えっちアニメで夜更ししたりしているんですよ。
モンブラン回はチャットアプリと4コマ表現の融合を見ることが出来ますので、4コマに一家言ある人は絶対に読むべきだと断言できます。

 

さて、前回のぬるめた記事では、さきなが神林長平作品を読んでいることを取り上げました。

flowerthief.hatenadiary.org

1巻同様、2巻でもさきなはさまざまな本を読んでいます。
ところが1巻と違い、神林長平作品ではありません。

では、どんな作品を読んでいたのか、今回も取り上げていこうと思います。

20話 不明 飛浩隆「ラギッド・ガール 廃園の天使II」 (2022.1.31追記)

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「ぬるめた」2巻63P

SF作品のようですが、電子書籍ではタイトルが読めません。
紙の単行本と雑誌で見ると、「xxガール」というタイトルかな?というところまでしか判りません。

エンタングル・ガール」か、「ヴァーチャル・ガール」か?
「スチーム・ガール」「ウォーシップ・ガール」とか!?

候補が多くて特定しきれませんでした。

2022.1.31追記

twitterで情報をいただきました。ありがとうございます。

飛浩隆「ラギッド・ガール 廃園の天使II」。表紙がまさにですね。

 

 

22話 ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」

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「ぬるめた」2巻74P

名作密室ミステリィ
アガサ・クリスティと同じ時代のいわば古典ミステリィですね。

 

25話 デイヴィッド・ピース「TOKYO REDUX 下山迷宮」

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「ぬるめた」2巻101P

東京三部作の完結巻。
ということは、これ以前に2作品読んでいたのでしょうか。

 

26話 伏瀬「転生したらスライムだった件

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「ぬるめた」2巻111P

電子書籍だとまたしても表紙のタイトルが読めません。アニメになった作品のようです。
紙の単行本と雑誌で見ると、「てんせいしたらスライムだった件」と書いてあるのがかろうじて読めます。「てんせい」じゃなく「てんどん」にも見えるのですが、背表紙は「てんスラ」とあるのがなんとか読めますので、「転生したらスライムだった件」で合っていると思われます。

 

さきなの読書遍歴

1巻では、神林長平作品に偏っていたさきなですが、2巻ではミステリィ、しかも古典に分類される時代のミステリィから、最近のクライム・サスペンス小説、なろう系小説も読むことが判明しました。

また更に、17話では、柱の登場人物紹介枠に、興味の変遷が紹介されています。

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「ぬるめた」2巻33P

1巻から読書遍歴が続いていたものと考えると、

神林長平森博嗣冲方丁→ジョン・ディクスン・カーデイヴィッド・ピース→伏瀬

という流れなのでしょうか。
(※20話の本はクラスメイトに貸していた本なので興味対象だった時期とは違うと思われます)

この流れ、なんとなく判る気がします。

神林長平から森博嗣

SFの次はミステリィ。1巻の記事で言及した同人誌版のさきなは宮部みゆきを読んでいました。そこから続いているとすると、SFとミステリィを交互に楽しんでいた可能性があります。

そして森博嗣といえば密室ミステリィが代名詞的なところはありますが、SFも書かれます。ミステリィ作品でも理系ミステリィと称されるほど論理的な会話や展開を見せます。それ故にSFからミステリィに移動するに際して近しいというか、入りやすいというか。そのような感覚があるような気がします。

ちなみに、私は森博嗣作品ではS&Mシリーズやスカイ・クロラシリーズも好きですが、1冊で好きなのは「そして二人だけになった」ですね。

森博嗣から冲方丁

明確な繋がりがあるわけではありませんが、こう、同じグループ範囲にいるというか、割と近しい作家だと思うのですよね。冲方丁森博嗣。またしても凄く個人的な偏見からの感覚的なところで申し訳ありません。けれど、なんとなくそんな感じ、ありませんか?
ミステリィの次はSF、と考えての冲方丁だったとすると、小川一水瀬名秀明が候補にあった可能性あったかもしれません。

ちなみに私は、冲方丁作品では「マルドゥック・スクランブル」が好きですね。
ブラックジャックのシーンは本当にしびれました。

冲方丁からジョン・ディクスン・カー

突然の古典ミステリィですが、SFの次はミステリィ
一つ前の森博嗣からのミステリィ繋がりであり、密室ミステリィつながりであることに加え、森博嗣さんは自身の作品のルーツの一つにジョン・ディクスン・カー作品を挙げているのです。

ジョン・ディクスン・カーからデイヴィッド・ピース

ここは私、両者の作品を読んだことがまだないのでわからないところです。
ミステリィからサスペンス。読書の幅が広がったことを表現しているかもしれません。わかりませんが。わからないのですが、「東京三部作」を読みたくなっている私がいます。

デイヴィッド・ピースから伏瀬

転生したらスライムだった件」はクリスマスプレゼントに貰ったと劇中言及されています。なので、これまで読んでいた作品のつながりと関係なく、第三者からのプレゼントを受け、読んでいる状況なのでしょう。
ひょっとするとギャルをやってるという噂の姉からのプレゼントなのかもしれません。

 

まとめ

ここまで、さきなの読書遍歴を見てきたわけですが、こうした人の興味の移ろいを物語と関係なく描かれているというのは、作中の時間経過をうっすら表現しているようですし、登場人物それぞれの解像度を高めてくれる抜群の効果を発揮していると感じます。

 

こかむもさん「ぬるめた」2巻、1巻から引き続き、オススメです。